根管治療
抜歯を言われた歯、残せる可能性があります

「歯の神経を抜きましょう」もしそのように診断されたら多くの患者様は、強い痛みへの不安と共に「自分の歯はもうダメになってしまうのではないか」という大きな喪失感を抱かれることでしょう。
しかし根管治療は決して歯の終わりを告げるものではありません。
むしろ重度にまで進行してしまった虫歯などに対して、ご自身の歯を「抜かずに残す」ための非常に重要で価値のある治療です。いわば「歯を救うための砦」とも言える専門的な処置なのです。この治療の成否がその歯がこの先、何年も何十年もお口の中で機能し続けられるかどうかを大きく左右します。
それゆえに根管治療には術者の深い知識と経験、そしてミクロン単位の精度を追求する徹底したこだわりが要求されます。歯の根の中は直接目で見ることができない、暗くて複雑な迷路のような空間です。その見えない部分と真摯に向き合い一切の妥協を許さず、再発のリスクを限りなくゼロに近づけていくこと。
それがこばやし歯科が最も大切にしている根管治療への姿勢です。患者様の大切な歯を一本でも多く、一日でも長く守るために。私たちは持てる全ての技術と情熱をこの治療に注ぎ込みます。
根管治療は歯の神経の治療です
根管治療は「歯内療法(しないりょうほう)」とも呼ばれ、歯の内部にある「歯髄(しずい)」という組織が細菌に感染してしまった場合に行う歯の根の中の治療です。
なぜ根管治療が必要になるのですか
根管治療が必要となるのは主に以下のような場合です。
| 原因 | 状況 | 症状 |
|---|---|---|
| 深い虫歯 | 虫歯が歯髄腔まで到達 | 激しい痛み(歯髄炎) |
| 歯の亀裂や外傷 | 細菌が歯の内部に侵入 | 歯髄の感染 |
| 過去の治療歯の再感染 | 根の先端部分で細菌繁殖 | 膿の袋(根尖病巣)形成 |
- 深い虫歯
- 虫歯が歯の表面のエナメル質やその内側の象牙質を突き破り、歯の中心部にある神経の部屋(歯髄腔)まで達してしまった場合。細菌が歯髄に感染し激しい痛みを引き起こします(歯髄炎)。
- 歯の亀裂や外傷
- 歯を強くぶつけたり歯ぎしりなどで歯に亀裂が入ったりすると、その隙間から細菌が歯の内部に侵入し歯髄が感染を起こすことがあります。
- 過去の治療歯の再感染
- 以前に根管治療を受けた歯の根の先端部分に、再び細菌が繁殖して膿の袋(根尖病巣)を作ってしまった場合。被せ物の中で気づかないうちに問題が再発しているケースです。
歯の内部(根管)はどうなっているのか

私たちの歯は硬い組織だけでできているわけではありません。その中心部には「歯髄腔」という空洞がありそこから歯の根の先に向かって、「根管」という非常に細い管が伸びています。この歯髄腔と根管の中は「歯髄」と呼ばれる神経や血管が束になった、柔らかい組織で満たされています。歯髄は歯に痛みを感じさせるだけでなく、歯に栄養や水分を供給し歯を健康に保つための大切な役割を担っています。
感染した神経を放置するリスク
歯髄が細菌に感染し激しい痛みを伴う歯髄炎の状態を我慢して放置していると、やがて神経は死んでしまい一時的に痛みが消えることがあります。しかしこれは決して治ったわけではありません。歯の内部では死んで腐敗した組織を栄養源として、細菌がさらに増殖し続けます。そしてその感染は歯の根の先端にある小さな穴から、外側の顎の骨へと広がっていきます。
その結果、歯の根の先に膿の袋を作り再び強い痛みや腫れを引き起こしたり、硬いものを噛むと違和感が出たりします。さらに症状が進行すると顎の骨を溶かしてしまったり、場合によっては細菌が血液に乗って全身に広がり、深刻な病気を引き起こしたりする危険性さえあるのです。
成功率を高めるための当院のこだわりと取り組み
根管治療は歯科治療の中でも、特に高い精度と技術力が求められる非常に難易度の高い治療です。治療が不完全で根管の中に少しでも細菌を取り残してしまえば、数年後に必ず再発し再治療が必要になります。そして再治療を繰り返すごとに、歯を救える可能性は残念ながら低くなっていきます。だからこそ私たちは、思い切り最初の治療でいかに完璧を期すことができるかを何よりも重要視しています。
そのために当院では世界的な標準治療として確立されている、様々な手法や機器を導入し治療の成功率を最大限に高めるための努力を惜しみません。
成功の鍵は「無菌的環境」 – ラバーダム防湿法の徹底
根管治療は細菌との戦いです。その戦いに勝利するための最も基本的でそして最も重要なステップが「ラバーダム防湿法」です。ラバーダムとは治療する歯だけを露出させるゴム製のシートのことです。
治療中、これをお口全体にかけることで唾液に含まれる無数の細菌が、きれいにすべき根管の中に侵入するのを物理的に完全に防ぎます。
唾液の侵入を防ぐことは根管内を無菌的な状態に保ち、術後の再感染のリスクを劇的に減少させます。また治療中に使用する細かい器具や消毒用の薬剤が、誤ってお口の粘膜に触れたり喉に流れたりするのを防ぐという、患者様の安全を守る上でも極めて重要な役割を果たします。
このラバーダム防湿法の実施こそが精密な根管治療を行う上での大前提であると私たちは考えています。
複雑な根管を攻略する、先進の機器
根管拡大・形成を精密に行う「エンドモーター」
感染した歯髄を取り除いた後の根管は非常に細く、湾曲していたり分岐していたりとその形は一人ひとり、そして歯の一本一本で全く異なります。
この複雑な形状の根管を隅々まで清掃するためには、まず根管をある程度の太さまで広げ清掃しやすい形に整える必要があります。
当院ではこの工程に「トライオート」や「レシプロック」といった高性能な「エンドモーター」を使用します。これは従来の術者の指先の感覚だけで操作する手用の器具(ファイル)とは異なり、コンピューター制御によって回転速度や力が自動的に調整される装置です。
ニッケルチタンという非常にしなやかな素材でできた専用のファイルが、複雑に湾曲した根管の形にも滑らかに追従し根管を傷つけるリスクを最小限に抑えながら、効率的かつ安全に汚染された壁の層を削り取っていきます。
洗浄効果を飛躍的に高める「超音波洗浄」
根管の中は水道管のような一本の太い管だけではありません。主となる管(主根管)から網の目のように細かく枝分かれした、無数の分岐(側枝)が存在します。
エンドモーターで清掃できるのはあくまで主根管の部分です。
これらの複雑な分岐に入り込んだ細菌をいかにして取り除くかが、再発を防ぐためのもう一つの重要な鍵となります。当院では根管内を消毒液で洗浄する際に「超音波スケーラー」を併用します。洗浄液で満たした根管内に超音波の微細な振動を与えることで、洗浄液が活性化し強力な水流(キャビテーション効果)が発生します。
これにより手用の器具では決して届かないような根管の隅々の、微細な分岐の内部まで洗浄と消毒の効果を行き渡らせることが可能になるのです。
再感染の入り口を完全に封鎖する「精密な根管充填」
根管内をいかに徹底的に清掃・消毒しても治療の際に、再び細菌が侵入する隙間を残してしまってはそれまでの努力がすべて無駄になってしまいます。
きれいになった根管内に緊密にそして隙間なく、薬剤を詰めて完全に封鎖する「根管充填」は治療の成否を決定づける極めて重要な工程です。
MTAセメントの活用
当院では難治性のケースや再治療のケースなど、必要に応じて「MTAセメント」という特殊な材料を根管充填に用いることがあります。このMTAセメントは従来の材料に比べて封鎖性が非常に高く、水分がある環境でも硬化するという優れた特性を持っています。
また強い殺菌作用を持つと同時に周囲の組織の再生を促す働き(硬組織誘導能)もあることが分かっており、治療の成功率を大きく向上させることが期待できる画期的な材料です。
根管治療の具体的な流れ

診査・診断
レントゲン撮影などで歯の根の状態や感染の広がりを正確に把握します。
麻酔とラバーダムの装着
治療中の痛みを完全に取り除き、唾液からの細菌汚染を防ぐための無菌的な環境を確保します。
髄腔開拡
歯の神経が入っている部屋(髄腔)まで歯のてっぺんから注意深く穴を開けていきます。
抜髄・感染物質の除去
感染してしまった歯髄や過去の治療で詰められた古い材料などを、専用の器具で丁寧に取り除きます。
根管拡大・形成・洗浄
エンドモーターや超音波を用いて根管内を徹底的にきれいにし、薬剤が詰めやすい形に整えます。
根管貼薬
根管内に消毒薬を入れ細菌が完全にいなくなるまで、数日間仮の蓋をして待ちます。このステップを症状が落ち着くまで、数回繰り返すことがあります。
根管充填
きれいになった根管の中にガッタパーチャというゴムのような材料とMTAセメントなどの薬剤を、隙間なく緊密に詰めて完全に封鎖します。
土台の作製と、被せ物の装着
根管治療を終えた歯を補強し噛む機能を回復させるために、土台(コア)を立てその上から被せ物(クラウン)を装着します。
治療の終わりは新たな始まり – 根管治療後の注意点
なぜ治療後に「被せ物」が必須なのか
神経を失った歯は歯髄からの栄養供給が絶たれてしまうため、時間が経つにつれて水分を失った枯れ木のようにもろく、割れやすくなってしまいます。
根管治療を終えた歯をそのままの状態で放置してしまうと、食事の際の力などで歯が「破折」してしまいせっかく助けた歯を、結局は抜歯せざるを得なくなってしまう危険性が非常に高いのです。
そのため根管治療を終えた歯には必ず、歯を補強するための土台(コア)を立て歯全体を覆う「被せ物(クラウン)」を装着することが絶対に必要となります。
再発を防ぐための「精密な被せ物」
根管治療がどんなに完璧に行われたとしてもの被せ物とご自身の歯との間に僅かでも隙間があれば、そこから唾液と共に細菌が侵入し数年後に再び歯の根の中で感染を引き起こしてしまいます。根管治療の成功を長期的に維持するためには、この的な被せ物の「精度」が極めて重要なのです。
当院では根管治療そのものの質を追求するのはもちろんのこと、治療後の精密な被せ物の作製までを一連の治療として責任を持って丁寧に行います。
治療後の定期検診
根管治療を終えた歯は痛みを感じる神経がないため、もし何か問題が再発しても自覚症状が出にくいという特徴があります。
治療した歯に問題が起きていないか。歯の根の先の骨の状態は良好に治癒しているか。
それを確認するために治療後も定期的にレントゲン撮影などを行い、経過を注意深く見守っていくことがとても大切です。


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